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Channel: 西新宿 Bar BenFiddich(ベンフィディック)
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ウィスキーを屋外放置紫外線熟成をしてみた

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こんにちは







西新宿Bar BenFiddich 店主の鹿山です






今日はレダイグの【屋外放置紫外線熟成】のお話し





その前に




2014年にアイラウィスキーである
アードベックを沼に沈めたのは今は昔
2014年の5年前(2019年現在)

ざぶーん

ブクブク

一年間沼にアードベックを放置した
はい!一年後
(2015年)


なにゆえ沼に沈めたか?

2014年は超音波による熟成促進などが
海外でも取り沙汰され流行ったのは覚えてる人は覚えてるだろう
それに伴い海底熟成も流行った

海底熟成は憧れやロマンがあるからだけでなく、超音波による熟成促進などの原理と理論は重ねることができ海の波動で瓶がゆったりと揺れ、アルコールと水の分子がうまく合わさり味がまろやかになる

海中の1年は地上の10年に匹敵し、熟成が早くなると言われた

ただ、その時は世界各国日本も例に漏れずみんな

ボトルを海に沈めた



ならばみんなが海なら

鹿山は沼に沈めてみよう



間違えないで欲しい

ただ悪戯に沼に沈めた訳ではない

海中と沼中との熟成速度の違いは海中では沼中より波動を大きく受け熟成は進む。深度にもよるが海水温は基本一定である。

沼中では深度は海底よりも浅く水温は高めであるが今回沈めた沼は鹿山の実家近くの為、盆地気候で冬場は氷が張るくらい寒いので四季を通して寒暖差がある。

しかし海よりも水による波動が弱い為、プラスマイナス差し引いて熟成速度は同じくらいではないかとの考えのもと沈めてみた



今回は沼熟成ではない
新たに新しい熟成方法を行なってみた
使ったのはこちら
【LEDAIG 2007 9y】

都内近郊同世代のバーテンダーが集まり

2016年に共同ボトリングした

THE SKYシリーズ

【LEDAIG 2007 9y】







名付けて【紫外線屋外放置熟成】をやりたい
今回は同じ樽から同じ時期にボトリングをした
ものでの比較
冷暗所に保管したボトルと
屋外に放置し春夏秋冬屋外で紫外線をバチバチに浴びたボトルとの比較試飲をしたい







『そんな!お酒を紫外線に当てるなんて!
劣化の原因になるし、ましてや屋外に放置するなんて。そんなことしちゃいけないってみんな教えられてるよ?』




いや、そうなんだよ




親が子供に躾けるように飲食業を始めた時から
当たり前にやってはいけないことだと教えられたしそう思い込んでいる。試したことないのに




なので試してみることにした






2018年4月1日 9時45分より
屋外放置熟成はスタートする
ここより21ヶ月間の鹿山の定点観測が始まる




2018年夏は猛暑日が連日続いたのは記憶に新しい
2018年7月30日 11時5分


夏が過ぎ秋 
レダイグも過ごし易くなったろう
2018年11月11日 16時25分



そして訪れる冬
レダイグの背後の木も紅葉が始まった
2018年12月2日 15時46分

あけましておめでとうございます
紅葉も散り、年が明け晴天の冬晴れ
2019年1月27日 15時45分




レダイグ屋外放置一年が経過
また訪れた春 右背後の木蓮の木に蕾
芽吹く季節は好きな季節だ
2019年4月16日 11時33分



二度目の梅雨 
雨に打たれるレダイグ
今年の関東は良く雨が降った
背景の木々も旺盛
思いの外、一年以上経過してもラベルは剥がれない
2019年7月7日 17時7分



また紅葉が始まる
既に屋外に放置して21ヶ月が経過
もうそろそろ頃合いではないだろうか
2019年12月8日 8時36分



なのでレダイグBenFiddichへ持ってきた

①左 レダイグ BenFiddichにある通常のレダイグ
(写真は既に開栓済みのレダイグのボトル)

②右 レダイグ 鹿山実家にて21ヶ月 屋外に放置


液面低下もほぼ見受けられない
キャップシールはかなりヴィンテージ感が出た


起きた変化を羅列してみる

①ラベルは紫外線により紫色から青色に褪せる

②液体の色彩も紫外線の影響により薄くなる

③液量の揮発は思いの外見受けられない

④味わいは現行のレダイグと比べると格段にまろやかになっている
アルコールの揮発はほぼ見受けられないが
これがやはり特筆すべき点。
冷暗所におかれたレダイグより
21ヶ月間屋外に紫外線を受け過酷な環境にいた為なのか刀を作るように鉄を鍛錬されたが如く円熟している



歴史は面白い

ただ、闇雲に屋外放置紫外線を浴びさせたわけではない。

鹿山が持っている

J.Fritsch の 1904年改訂版

『 Nouveau Traite de la Fabrication des Liqueurs』の古書 いわゆる昔のリキュールやスピリッツのメイクマニュアルがある



この文献に記載の

Cusenier(キューゼニア)蒸留所の酸化促進プロセス(Oxygenee)の記述がある

この文献はアブサンについてだが

同じ原理であり原理的に

圧力ポンプを使い、スプレー菅からアブサンをブシャーっと噴射し、分子をバラバラにさせてからそこに酸素をブシャーっと送りこませる。

ものすごい勢いで酸素に触れ合う事で酸化が進み、熟成したようなまろやかな味わいになる。

この工程はOxygeneeと呼ぶ



このほかにも19世紀では色々な熟成促進が試されており、

白熱灯を当て促進させる方法

紫外線についての促進の記述もある




いま現在当たり前であることが当たり前ではない
時代は面白い。目から鱗だし、皆挑戦してる
それは過去が正解なのか今が正解かなんてのも
捉え方次第だと思う
未来はまた違うと思う
ただ、自分が思い込んでる
固定観念に捉われていては牛歩になるし
よくないと思う
百聞は一見にしかず
良い言葉だと思う





21ヶ月間屋外に放置
春夏秋冬 様々な気温変化
及び直に21ヶ月間 紫外線を浴びせたこの結果。
皆様、残っているうちにお試し頂きたい





















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